股関節への深層筋はり

股関節は、立つ、座る、歩く、走る、階段を上るなど足の動きにとって重要な関節で、ちょうど上半身と下半身の境目でもあります。
よく骨盤の歪みを調整しますという施術を耳にしますが、骨自体が変形して歪むことはほとんどなく、主に腰・股関節の筋肉の運動や感覚のバランスを整えています。

 

股関節の深層筋は下半身のバランスを整えるとても重要な筋肉がたくさんついており、
中殿筋、小殿筋、梨状筋、深層外旋六筋、大腰筋、腸骨筋、内転筋群などがあります。

中殿筋への鍼(はり)治療

中殿筋

中殿筋とは

中殿筋とは、おしりの真ん中にある筋肉で大殿筋と小殿筋の間にあり、骨盤の上辺の前後から大腿骨の大転子の先端や外側に付着していて主に下肢の動きを担っています。

  • 支配神経:上殿神経
  • 脊髄支配:L4〜S1
  • 栄養血管:上殿動脈
中殿筋の役割

下肢全体を外側に上げたり、
下肢全体を内側に捻ったり、外側にひねったりします。
また、片足立ちをした時に脚を上げた方の骨盤が下がらないように固定して下半身のバランスを保つためにとても重要な役割を担っています。
特に格闘技の蹴りや、バレエの足上げ時の姿勢保持にはこの筋肉は大変重要となりますので、メンテンナンスが必須うとなります。

中殿筋の症状

中殿筋が硬く緊張すると、片足立ちをすると上げた脚の反対側が痛んだり、長い時間座っていたり、椅子から立ったりすると激痛がはしります。
また逆に運動麻痺などで中殿筋のの力が弱くなると、歩行時に脚を上げた方と反対の骨盤が下がりながら歩くため(トレンデンブルグ歩行)、下がった骨盤の方に倒れないように上体を軸足の方に振って(デュシャンヌ徴候)倒れないようにします。
つまり、下肢全体の姿勢を保つためにはとても重要な役割をしていることがわかります。

中殿筋の鍼治療

中殿筋は、大殿筋に覆われているため、手で押しても大殿筋に力が吸収されるため、刺激が少ししか伝わりません。しかも、中殿筋は厚みもあるため、奥の方は刺激がより少なくなり、十分な効果が得られないことがります。
しかし、鍼治療ならば、中殿筋の奥まで直接刺激ができるので、凝り固まった筋肉の過緊張を速やかに緩めて、痛みやしびれなどの症状を改善されます。

小殿筋の鍼(はり)治療

小殿筋

小殿筋とは

小殿筋は、大殿筋と中殿筋に覆われ、中殿筋の下の骨盤(腸骨)の外側面から大転子の前面についていき、下肢の動きや骨盤の固定にとても重要な役割を持っています。

  • 支配神経:上殿神経
  • 支配脊髄:L4〜S1
  • 栄養血管:上殿動脈
小殿筋の役割

主に下肢を外側に上げたり、歩くときにバランスが崩れないように下肢を固定する働きがあります。また、歩行時だけでな、立っている時にも小殿筋が働いてバランスが崩れないように姿勢を保ちます。
中殿筋と同じような作用があり、中殿筋と協同して下肢の動きや歩行時の姿勢保持に重要な役割を担っています。

小殿筋の症状

小殿筋が硬く緊張すると、座っている時、立っている時、歩いている時に痛みが強くなっていきます。非常に緊張が強いと、寝ている時以外は常に痛みが強くなって日常生活の動きさえも出来ないほどになります。

小殿筋の鍼治療

うつ伏せまたは横向きになり、小殿筋に鍼をしていきます。
骨盤の中でも、最も深い位置にあるため、マッサージや整体などでは、刺激が届きづらいのですが、鍼治療ならば長さを生かして小殿筋に直接刺激をすることができるので、効果が期待出来ます。

梨状筋の鍼(はり)治療

梨状筋

梨状筋とは

梨状筋は、骨盤の間にある仙骨前面から、大転子の先端について、下肢の動きにとても重要な働きを担っています。
大殿筋に覆われて、梨状筋の上と下には、神経や血管が走り、下肢や臀部に栄養や信号を送っています。

梨状筋の役割

普段の動作では、
脚を外側に開く動作をして、がに股の人はこの筋肉が強く働いて緊張しています。
平泳ぎの時に脚を引き寄せるときにもとても重要な働きをしています。

  • 支配神経:坐骨神経叢
  • 支配脊髄:L5(S1)〜S2
  • 栄養血管:下殿動脈、外側仙骨動脈、上殿動脈
梨状筋の症状

梨状筋が硬く緊張すると、上下に走る神経や血管を圧迫することがあり、おしりの痛みや坐骨神経痛のような下肢の痛みを引き起こします。

梨状筋の鍼治療

梨状筋への鍼治療は、大殿筋に覆われ、触ってもはっきりと形を捉えづらいため、大転子と腸骨の後ろの出っ張りを目印にしてはり施術をしていきます。
また梨状筋を目印にして、坐骨神経や陰部神経をはりから通電をして、神経系血流を上げて痛みやしびれを緩和、改善したり、不妊治療の治療として、陰部神経から卵巣血流を上げる施術をしたりします。

深層外旋六筋の鍼(はり)治療

深層外旋六筋とは?

深層外旋六筋とは、おしりに付く筋肉で、股関節の外旋、つまり、足を外に回しながら開きます。ガニ股にするときはこの筋肉はかならずはたらきます。
六筋というので、6つの筋肉が、大腿骨の上方に付着しています。
6つの筋肉の名前は、上から

  • 梨状筋
  • 上双子筋
  • 内閉鎖筋
  • 外閉鎖筋
  • 下双子筋
  • 大腿方形筋

になります。

深層外旋六筋の神経支配
支配末梢神経:
  • 仙骨神経叢:梨状筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋
  • 坐骨神経:大腿方形筋
  • 閉鎖神経:外閉鎖筋
支配脊髄レベル
  • L3〜L4:外閉鎖筋
  • L4〜S1:上双子筋、下双子筋、大腿方形筋
  • L5〜S2:梨状筋、内閉鎖筋
深層外旋六筋の役割

股関節の外旋。
平泳ぎの足を引き寄せる時や、自転車から降りるときに、足をふみ出す動きなど。ガニ股の人は、この筋肉が硬くなっている時が多い。

深層外旋六筋の障害

深層外旋六筋が硬く緊張すると、
この筋肉の中をとおる坐骨神経が圧迫され、坐骨神経痛になります。
格闘技での蹴りやバレエでの足上げの際に、痛みます。

深層外旋六筋の治療

うつ伏せになり、大腿骨の大転子と上後腸骨棘、おしりの割れ目あたりを指標にして、刺鍼をしていきます。

○参考資料

  • 自然鍼灸臨床研究会 中殿筋刺鍼(西條式はり治療)
  • 炎の鍼灸師養成講座 中殿筋・小殿筋刺鍼(北京堂式はり治療)
  • ネッタ−解剖学アトラス
  • teamLabBody
  • カラー図解 筋肉のしくみ・はたらき事典 石井直方監修 左明・山口典孝共著
  • 3D 踊る肉単 河合良訓監修 原島広至著