肩・回旋腱板の深層筋(インナーマッスル)はり治療

肩の深層背筋:回旋腱板

回旋腱板(ローテーターカフ)とは?

回旋腱板とは、肩関節(肩甲上腕関節)を安定させる筋群の総称で、特に腕を動かす時に重要な働きを担っています。
特に腕を動かす肩甲上腕関節は、股間節と同じ球関節ですが強い靭帯を持たず、関節包や筋肉などの柔らかい組織に包まれて、関節のはまり方が浅い構造になっているため、腕の動きは関節の中で最も自由に動かせる範囲が大きいのですが、安定性が低いという弱点があります。
そこで自由度が高いという長所を活かし、安定性が低いという弱点を補うために、靭帯の代わりに回旋腱板という筋肉で補強することにより、安定性を高めつつ、腕の動きの自由度を妨げないという素晴らしい機構になっています。

 

肩関節はいわば筋肉に包まれた関節といえるのですが、その分、筋肉対する負荷は大きくなり、過度の負荷やオーバーユース(使いすぎ)、動かす角度によっては他の関節に比べ痛めやすい場所になります。
特に、肩を酷使する野球やテニス、水泳などではフォームや動かし方を注意しないと故障の原因になります。
その他、ラグビーやアメフトなどコンタク競技で肩からぶつかったり、自転車からの転倒で肩から落下すると、棘上筋腱を痛めたり、断裂することがあります。

 

回旋腱板の筋群

棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つがあり、どれも肩甲骨から上腕骨に向かって付いていき腱が上腕骨を包み込むようについています。

 

棘上筋とは?

肩甲骨の上部の棘上窩から上腕骨大結節上部につく筋肉で、上腕骨を肩甲骨に引きつけて腕の動きを安定させたり、三角筋と協力して腕を外に広げたり、外側に少しひねる働きをします。
日常生活では、脇を広げて買い物袋を両手に下げている時やバケツに水を組んで運ぶときなどによく働き、
スポーツでは、投げた後の腕の振りにブレーキをかける働きをします。

 

棘上筋DATE
  • 支配神経:肩甲上神経
  • 脊髄神経:C5〜C6
  • 筋体積:89立方p
  • PCSA※:20.8平方cm
  • 筋繊維長:4.3cm
  • 速筋:遅筋(%比):40.7:59.3

※生理学的筋横断面積(Physiological Cross-Sectional Area)

 

棘上筋のはり治療

伏臥位または側臥位で棘上窩や上腕骨に向けて刺鍼をしていきます。

 

棘下筋とは?

肩甲棘の下の棘下窩から上腕骨の大結節中部に付く筋肉で、上腕骨を外側にひねる動作に主に関わります。
日常生活では、カーテンを開く時に腕を外に開いたり、引き戸を閉める時などに働き、
スポーツでは、テニスや卓球のバックハンド、空手の裏拳、投げ終わった時の腕の振りにブレーキをかける働きをします。

 

棘下筋DATE
  • 支配神経:肩甲上神経
  • 脊髄神経:C5〜C6
  • 筋体積:89立方p
  • PCSA※:20.8平方cm
  • 筋繊維長:4.3cm
  • 速筋:遅筋(%比):40.7:59.3

※生理学的筋横断面積(Physiological Cross-Sectional Area)

 

棘下筋のはり治療

棘下筋は肩峰の下から肩甲棘外側のラインに垂直に斜刺で刺鍼していきます。
置鍼すると三角形に鍼が並びます。

 

小円筋とは

肩甲骨後面の外側縁から上腕骨の大結節の下部に付く筋肉で、腕を外側にひねる動作に関わります。
日常生活動作、スポーツ動作では、棘下筋と同様の働きをするが支配神経が異なる。

 

小円筋DATE
  • 支配神経:腋窩神経
  • 脊髄神経:C5〜C6
  • 筋体積:39立方p
  • PCSA※:6.8平方cm
  • 筋繊維長:5.7cm
  • 速筋:遅筋(%比):不明

※生理学的筋横断面積(Physiological Cross-Sectional Area)

 

小円筋のはり治療

肩甲骨外側縁を肩甲骨下角から肩峰に向かって上2〜3横指ぐらいを触診して確認し、上腕骨大結節に向かって刺鍼をしていきます。

 

肩甲下筋とは

肩甲骨前面の肩甲下窩から上腕骨の小結節に向かって付いている筋肉です。
日常生活動作では、カーテンを閉めるときや引き戸を閉める時に腕を内側に捻る動作に関わり、
スポーツ動作では、野球のピッチング、テニス、バトミントンのスイングなど投げる動作に関わり、同時に上腕骨頭を肩甲骨に引きつけて関節が不安定にならないようにする働きを同時に行います。

 

肩甲下筋DATE
  • 支配神経:肩甲下神経
  • 脊髄神経:C5〜C6
  • 筋体積:319立方p
  • PCSA※:35.7平方cm
  • 筋繊維長:8.9cm
  • 速筋:遅筋(%比):不明

※生理学的筋横断面積(Physiological Cross-Sectional Area)

 

肩甲下筋の刺鍼

仰臥位で、脇を少し開いた状態で腋窩から肩甲下窩に向かって触診し、同時に上腕を内外旋させて肩甲下筋を特定し刺鍼していきます。

 

回旋腱板(ローテーターカフ)まとめ

筋肉名 支配神経 主な動き
棘上筋 肩甲上神経

C5〜C6

肩関節の外転、安定、軽度外旋
棘下筋 肩甲上神経

C5〜C6

肩関節の外旋、安定、水平外転
小円筋 腋窩神経

C5〜C6

肩関節の安定、外旋
肩甲下筋 肩甲下神経

C5〜C6

肩関節の内旋、安定、水平内転

 

DATE 棘上筋 棘下筋 小円筋 肩甲下筋
筋体積

立方p

89 225 39 319
PCSA

平方p

20.8 33.3 6.8 35.7
筋繊維長

p

4.3 6.8 5.7 8.9
速筋:遅筋 40.7:59.3 54.7:45.3 不明 不明